2020/11/29 10:52

「麗しき島々」リリースにあたり、推薦コメントをいただきましたのでご紹介いたします。


南方から流れ込む黒潮に抱かれながら、島から島へと歌い継がれ、長い時間をかけてじっくりと育まれてきた歌の数々。えぐさゆうこは、そんな歌の封印を解き、新たな息吹きを吹き込む。その歌唱はいわゆる民謡調でもなければJ-POP調でもなく、あえて表現にするならば「古謡調」。彼女の師匠である朝崎郁恵の歌を初めて聞いたときの感覚が蘇った。


すでに伝承が途絶えてしまった古謡を持ち前の好奇心と探求心のもと蘇らせる活動スタンスは、「歌うフィールドワーカー」あるいは「実践する民俗音楽学者」とでもいえるだろうか。歌の生まれた場所とそれを育んできた人々への敬愛、そうした歌を表現するうえでの覚悟さえ感じられる、古くて新しい「列島のうた」がここにある。大石始(ライター)


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儚さと土臭さが同居する不思議な万華鏡。

はかないのかと思わせておきながら実は歌声の隅々まですべてをコントロール下に置いている技量をさりげなく随所で感じさせ、聴く者に「これはかなわない」とどきっとさせる。

幼女、艶っぽさ、老婆のイメージがくるくると入れ替わるような。


アレンジ・伴奏からは、愛を感じる。

シンプルに、引いて引いて、歌をそっと引き立てよう、と。そうすれば引き立つ歌なんだという確信に基づいている。


小瀬田の四つ竹踊り歌のピアノの入りがかっこよいー。そして歌も最高。耳に残るけど、私にはできない、入れない、再現できない、こんなに好きなのに、ああ残念(好きなものには混ざりこみたいタイプ、だから歌っている)。


どの曲もほんとうに素敵。

真摯な向き合い方がひしひしと伝わって心を打つ。

声好きな私は、そのなかでもみゆきさんとの絡みがいちばん好き。しゃくりあげるときの絡みがやばい。あれは他の誰でもありえない、おふたりの声の相性と、歌への向き合い方のシンクロ具合があってこそでしょう。2人なのにひとつの声の幅が広がっているような。


三枝彩子(オルティンドー歌手)